【第20回】【実録】18時55分、いつもの景色が奪われた日。

私がこのブログやnoteで、自分の体験を発信しようと思ったのには、たった一つの、しかし人生を根底から覆す強烈な理由があります。

「妻が倒れたから」です。

令和6年9月末のことでした。それは、いつもと変わらない夕方の風景のはずでした。

18時55分。いつもの底抜けに明るい「いつもの景色」が奪われました。

夕飯の支度をしていた彼女が、休日にテレビを観ていた私の横へゆっくりと歩いてきて、ちょこんと座り込んだのです。そして、うなだれた感じで下を向いたまま、ピクリとも動かない。

「??! 何か違う!」

直感した私が「どうした?しんどい?」と声をかけても、彼女は言葉が出ない。ただ首を横に振るだけで……。下から顔を覗き込み、彼女の目を見た瞬間、私は確信しました。

頭をよぎったのは、『脳梗塞』の三文字でした。

「救急車呼ぶよ!」と叫ぶ私に、彼女は首を横に振りました。自分が不自由になることで、私に迷惑を掛けてしまうと感じたのでしょう。

「……死ぬ気??」

私が必死にそう問うと、彼女はうなだれたまま、コクッと頷いたのです。ついさっきまで普通に夕飯を作っていたのに。

一命は取り留めたものの、その後遺症として彼女に残ったのは「右半身の手足の完全な麻痺」と、言葉をうまく発したり理解したりできなくなる「失語症(言語障害)」でした。

次回:第2部「職人が道具を失うということ。共倒れの恐怖と向き合った日々」

理容・美容師夫婦を襲った、さらなる絶望。ハサミを持てなくなった現実に、どう立ち向かったのかをお伝えします。

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